○国分寺市環境基本条例

平成16年9月30日

条例第21号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 環境基本計画等(第7条・第8条)

第3章 施策の推進

第1節 施策の方向性(第9条―第12条)

第2節 具体的施策の推進(第13条―第26条)

第4章 推進体制(第27条―第29条)

第5章 環境審議会(第30条・第31条)

第6章 雑則(第32条)

附則

私たち国分寺市民は、国分寺崖線や湧水群などの豊かな自然、史跡武蔵国分寺跡などの貴重な歴史的遺産、さらには江戸時代の新田開発以降、人々の暮らしのなかから生まれた農地や雑木林などの心温まる景観に親しみながら地域固有の文化をはぐくんできました。

その一方、私たちは、大量生産、大量消費、大量廃棄といった社会のなかで、生活の便利さや物質的な豊かさを手に入れた反面、緑や貴重な生物の減少、大気汚染やその他の公害、ごみや資源・エネルギー問題など身近な自然環境から人間はもとよりすべての生物の生存基盤である地球環境にまで深刻な影響を与えてきました。

今日の環境問題は、私たち一人ひとりが被害者であると同時に加害者でもあります。

私たちは、恵み豊かな環境を享受する権利を有するとともに、この環境を守り、将来世代へ引き継ぐ責任があります。

今こそ私たちは、自らが環境に負荷を与えている存在であることを改めて認識し、「環境負荷の少ない持続可能な社会」を築き上げるため、行動を起こさなければなりません。

ここに私たちは、市民、事業者及び市が適切な役割分担に基づき、協働して、環境の保全、回復及び創造に向けての総合的かつ計画的な取組を進めるために、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全、損なわれた環境の回復及び良好な環境の創造(以下「環境の保全、回復及び創造」という。)について、国分寺市(以下「市」という。)における基本理念を定め、市民、事業者及び市の役割を明らかにするとともに、環境の保全、回復及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来にわたり市民が健康で安全かつ文化的な生活を営む上で必要とする良好な環境を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全に支障となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋汚染、動植物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全に支障のあるもののうち、事業活動その他の人の活動に伴って生じる生活環境の侵害であって、大気汚染、水質汚濁(水質以外の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭等によって、人の健康が損なわれ、又は人の快適な生活が阻害されることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全、回復及び創造は、市民が健康で恵み豊かな環境を享受し、これを将来世代へ引き継ぐため、人と自然が共生し、環境負荷の少ない持続可能な社会を構築することを目的として行われなければならない。

2 環境の保全、回復及び創造は、市民、事業者及び市の適切な役割分担に基づき、これらの者が協働して、自主的かつ積極的に取り組むことによって行われなければならない。

3 地球環境の保全は、人類の共通の課題であることを認識し、市民、事業者及び市のすべての活動において、積極的に推進されなければならない。

(市民の役割)

第4条 市民は、自らの活動が環境への負荷を与える立場であることを認識し、環境の保全、回復及び創造について関心を持つとともに、必要な知識を持つように努めなければならない。

2 市民は、その日常生活において、主体的に環境への負荷の低減、公害の防止その他環境の保全、回復及び創造に努めなければならない。

3 市民は、前2項に定めるもののほか、事業者及び市と協働して環境の保全、回復及び創造に努めなければならない。

(事業者の役割)

第5条 事業者は、自らの事業活動が環境への負荷を与える立場であることを認識し、事業活動を行うに当たっては、更に環境の保全、回復及び創造に努めるとともに、事業活動に伴って生ずる公害の防止等に努め、環境への負荷の低減に必要な措置を講じなければならない。

2 事業者は、物の製造、加工若しくは販売又は役務の提供その他の事業活動を行うに当たっては、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、若しくは廃棄され、又はエネルギーが消費されることによる環境への負荷の低減に積極的に努めなければならない。

3 事業者は、前2項に定めるもののほか、市民及び市と協働して環境の保全、回復及び創造に努めなければならない。

(市の役割)

第6条 市は、第3条に定める基本理念に基づき、環境の保全、回復及び創造を図るため、基本的かつ総合的な施策を策定し、実施しなければならない。

2 市は、環境の保全、回復及び創造に関する施策の策定及び実施に際し、市民及び事業者の意見を反映させるよう必要な措置を講じなければならない。

3 市は、自らの行政活動が環境への負荷を与える立場であることを認識し、自らの行政活動に伴う環境への負荷の低減に積極的に努めなければならない。

4 市は、前3項に定めるもののほか、市民及び事業者と協働して環境の保全、回復及び創造に努めなければならない。

第2章 環境基本計画等

(環境基本計画等)

第7条 市長は、環境の保全、回復及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、国分寺市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 環境基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 環境の保全、回復及び創造に関する目標

(2) 環境の保全、回復及び創造に関する施策の方向性

(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全、回復及び創造に関する重要事項

3 市長は、環境基本計画を策定するに当たっては、市民及び事業者の意見を反映できるよう必要な措置を講ずるものとする。

4 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

6 市長は、環境基本計画に基づく施策を推進するため、国分寺市環境基本計画実施計画(以下「環境基本計画実施計画」という。)を策定するものとする。

7 第3項及び第4項の規定は、環境基本計画実施計画の策定及び変更について準用する。

(環境配慮指針)

第8条 市長は、前条の環境基本計画に基づき、市民、事業者及び市がそれぞれの役割に応じて、環境の保全、回復及び創造について配慮するための具体的な指針(以下「環境配慮指針」という。)を策定しなければならない。

2 市長は、環境配慮指針を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

第3章 施策の推進

第1節 施策の方向性

(自然環境の保全、回復及び創造)

第9条 市は、市民生活にうるおいとやすらぎを与える、国分寺崖線緑地、雑木林、農地等の緑、湧水、用水、野川等の水、それらにはぐくまれる動植物の生態系その他の自然環境の保全、回復及び創造のために適切な措置を講ずるものとする。

(生活環境の保全、回復及び創造)

第10条 市は、市民の健康で安全かつ文化的な生活のため、大気汚染の防止、水質汚濁の防止、食の安全性の確保、快適な交通環境の確保、安心して暮らせるコミュニティづくり、特色ある景観づくりその他の生活環境の保全、回復及び創造のために適切な措置を講ずるものとする。

(地球環境の保全)

第11条 市は、市民生活及び事業活動による環境への負荷の積み重ねが地球規模の環境問題につながっていることを踏まえ、資源及びエネルギーの有効利用、廃棄物の減量及び適正な処理その他の地球環境の保全のために適切な措置を講ずるものとする。

(施策の総合調整)

第12条 市は、環境に影響を及ぼすおそれのある施策については、環境基本計画との整合を図るものとする。

2 市は、環境の保全、回復及び創造に関する施策について総合的に調整し、推進するために必要な措置を講ずるものとする。

第2節 具体的施策の推進

(財政的措置)

第13条 市は、環境の保全、回復及び創造に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。

(誘導的措置)

第14条 市は、市民及び事業者が生活様式及び事業活動を見直すことにより環境の保全、回復及び創造について適切に行動するよう、助成その他の誘導的な措置を講ずるものとする。

(規制的措置)

第15条 市は、公害の原因となる行為その他の環境の保全、回復及び創造に支障を及ぼすおそれのある行為について、必要な措置を講ずるものとする。

(環境管理)

第16条 市は、自らの行為に係る環境への負荷を継続的に改善するため、環境管理を行うものとする。

2 市は、環境管理を行うに当たっては、環境への負荷の低減に関する目標を設定し、当該目標を達成するために計画的な活動を行うとともに、当該活動の実施状況について点検及び評価をし、その結果に基づいて、必要な措置を講ずるものとする。

3 市民及び事業者は、自らの環境への負荷を継続的に改善するため、環境配慮指針に基づき、環境管理を行うよう努めるものとする。

(監視、測定等)

第17条 市は、環境の状況を的確に把握するため、必要な監視、測定等に努めなければならない。

2 市は、前項の監視、測定等によって把握された環境の状況を公表するものとする。

(環境影響評価)

第18条 市は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業について、環境の保全、回復及び創造に適切な配慮がなされるよう、当該事業又は計画が環境に及ぼす影響を事前に評価するために必要な措置を講ずるものとする。

(国、他の地方公共団体等との協力)

第19条 市は、環境の保全、回復及び創造に関して広域的な取組を必要とする施策については、国、他の地方公共団体等と協力し、その推進に努めるものとする。

(情報の収集及び提供)

第20条 市は、環境の保全、回復及び創造に関する施策を実施するため、情報の収集及び調査研究に努めるものとする。

2 市は、環境の保全、回復及び創造に関する施策を推進するため、必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。

(公共施設における環境への配慮)

第21条 市は、公共施設の整備及びその運営に関し、資源及びエネルギーの節約、廃棄物の排出抑制等環境への負荷を低減するよう努めなければならない。

(物品購入等における環境への配慮)

第22条 市民、事業者及び市は、環境に配慮した物品の購入又は役務の利用に努めなければならない。

2 事業者は、環境に配慮した物品又は役務の提供に努めなければならない。

(環境学習の推進)

第23条 市民、事業者及び市は、環境の保全、回復及び創造について理解を深め、その活動を推進するため、自ら環境学習に努めるものとする。

2 市は、市民及び事業者の環境の保全、回復及び創造に関する学習を推進するために、必要な措置を講ずるものとする。

(自主的活動の支援)

第24条 市は、市民及び事業者が行う環境の保全、回復及び創造に関する自主的な活動を支援するために、必要な措置を講ずるものとする。

(市民活動団体、教育機関、研究機関等との連携)

第25条 市は、環境の保全、回復及び創造に関して、市民活動団体、教育機関、研究機関等と連携し、その推進に努めるものとする。

(環境報告書)

第26条 市長は、毎年度、環境基本計画の適正な進行管理を行うため、市の環境の保全、回復及び創造に関する施策の実施状況を、環境報告書として公表しなければならない。

2 市長は、前項の規定による環境報告書の公表に当たっては、環境の保全、回復及び創造に関する実施状況に対する評価を行い、これを付さなければならない。

第4章 推進体制

(環境推進管理委員会)

第27条 市長は、環境基本計画に基づき実施される施策等に関し、進ちょく状況の管理及び評価を行うため、市民参加による国分寺市環境推進管理委員会を設置しなければならない。

2 国分寺市環境推進管理委員会の組織等については、別に定める。

(環境ひろば)

第28条 市長は、市民及び事業者が環境の保全、回復及び創造に関する意見を自由に交換するため、国分寺市環境ひろば(以下「環境ひろば」という。)を設置するものとする。

2 環境ひろばは、環境基本計画実施計画及び環境配慮指針その他環境の保全、回復及び創造に関する事項について、市長に意見を述べることができる。

3 環境ひろばの組織等については、別に定める。

(環境ネットワーク)

第29条 市長は、市民及び事業者による環境の保全、回復及び創造に関する活動を推進するため、国分寺市環境ネットワーク(以下「環境ネットワーク」という。)を設置するものとする。

2 環境ネットワークは、環境基本計画の優先施策、環境基本計画実施計画及び環境配慮指針の推進に関して具体的な方策を検討し、実施するものとする。

3 環境ネットワークの組織等については、別に定める。

第5章 環境審議会

(環境審議会の設置及び組織)

第30条 市の環境の保全、回復及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進する上で必要な事項を審議するため、市長の附属機関として国分寺市環境審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を審議し、答申するほか、当該事項について市長に建議することができる。

(1) 環境基本計画等に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全、回復及び創造に関する基本的事項に関すること。

3 審議会は、委員12人以内をもって組織し、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 公募により選出された市民 4人以内

(2) 識見を有する者 4人以内

(3) 事業者の代表者 2人以内

(4) 関係行政機関の職員 2人以内

4 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選によりこれを定める。

6 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。

7 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(審議会の会議等)

第31条 審議会は、会長が招集し、会長は、会議の議長となる。ただし、委員の3分の2以上の請求があるときは、議題を審議するため、会長は審議会を招集しなければならない。

2 審議会は、委員の過半数の出席がなければ、会議を開くことができない。

3 審議会の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

4 審議会は、会議の運営上必要があると認めるときは、委員以外の者を会議に出席させ、その意見を聴き、又は委員以外の者から資料の提出を求めることができる。

5 審議会の会議は、公開する。ただし、国分寺市附属機関の設置及び運営の基本に関する条例(平成11年条例第26号)第5条(会議の公開)ただし書の規定に該当する場合は、当該会議の全部又は一部を公開しないことができる。

6 審議会の庶務は、まちづくり部まちづくり計画課において処理する。

(平成28年条例第38号・一部改正)

第6章 雑則

(委任)

第32条 この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成16年10月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際、現に存する国分寺市環境基本計画は、この条例第7条の規定により策定された環境基本計画とみなす。

(国分寺市環境基本計画等検討委員会設置条例の廃止)

3 国分寺市環境基本計画等検討委員会設置条例(平成14年条例第5号)は、廃止する。

(国分寺市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

4 国分寺市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和40年条例第45号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(平成28年条例第38号)

(施行期日)

1 この条例は、平成29年4月1日から施行する。

国分寺市環境基本条例

平成16年9月30日 条例第21号

(平成29年4月1日施行)

体系情報
第8編 境/第1章 環境計画
沿革情報
平成16年9月30日 条例第21号
平成28年12月28日 条例第38号