○国分寺市男女平等推進条例
平成19年3月29日
条例第10号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 性別による権利侵害の禁止等(第8条)
第3章 基本的施策(第9条・第10条)
第4章 具体的施策(第11条―第17条)
第5章 男女平等推進センター(第18条―第22条)
第6章 苦情等への対応(第23条・第24条)
第7章 男女平等推進委員会(第25条・第26条)
第8章 雑則(第27条)
附則
人はだれもが「ただその人である」というだけで、かけがえのない存在です。だれもが等しく尊く、性別にかかわらず平等です。
これまで、我が国では個人の尊重と法の下の平等がうたわれている日本国憲法の下、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」を批准し、国際社会における取組と連動して、男女共同参画社会基本法の制定等の法整備が進められてきました。国分寺市においては、昭和63年に国分寺市婦人行動計画を策定し、男女平等社会の実現に向けて、市民とともに様々な取組を進めてきました。
しかし、いまだに多くの課題が残されています。ジェンダーによる固定的な役割分担意識とその役割分担意識に基づく社会の慣行には、個々人の自由な活動や生き方の選択を制限するものがあります。ときには一人の人間としての権利まで奪われることがあります。ドメスティック・バイオレンスなど性別に起因する暴力はその現れです。これらの課題の解消に向けて一層の努力が必要です。
人はだれもが多様で自由な存在であり、自分らしく生きる権利を有しています。
国分寺市は、すべての人が性別にかかわりなく個人として尊重され、認め合い、支え合いながら、ともに生きることのできる男女平等社会の実現を目指して、この条例をつくります。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)の理念に基づき、国分寺市(以下「市」という。)における男女平等社会の実現に関し、基本理念並びに市、市民及び事業者等の責務を定め、市の施策の基本的事項を明らかにするとともに、男女平等社会の実現のための施策(以下「男女平等推進施策」という。)を総合的かつ計画的に推進することにより、男女平等社会を実現することを目的とする。
(1) 男女平等社会 一人ひとりが個人として尊重され、性別に起因する差別を受けず、ジェンダーによる固定的な役割分担意識及びその役割分担意識に基づく社会的な制度又は慣行により、個人の社会における活動の自由な選択が妨げられることなく、個性及び能力を十分に発揮する機会が保障され、対等な立場でともに協力し合い、責任を分かち合う社会をいう。
(2) 市民 市内に住む者又は市内で働く者、学ぶ者若しくは活動する者をいう。
(3) 事業者等 市内において事業を行うもの及び非営利の活動、公共的活動その他の活動を行うものをいう。
(4) ジェンダー 生まれついての生物学的性別と異なり、社会通念又は慣習の中にある男性像、女性像等社会によって作られた性別をいう。
(5) セクシュアル・ハラスメント 職場、学校等社会のあらゆる場で、性的な言動により、他の者を不快にさせ、又はその者の対応に対して更なる不利益を与えることをいう。
(6) ドメスティック・バイオレンス 配偶者その他親密な関係にある者(過去に配偶者その他親密な関係にあった者を含む。)による身体的暴力又は精神的、性的若しくは経済的に苦痛を与える行為をいう。
(基本理念)
第3条 男女平等社会を実現するため、次に掲げる事項を基本理念とする。
(1) 性別にかかわりなくだれもが、個人として尊重され、性別に起因する差別及び暴力がなく、ジェンダーによる固定的な役割分担意識及びその役割分担意識に基づく社会的な制度又は慣行により、個人の社会における活動の自由な選択が妨げられることなく、多様な生き方が選択できること。
(2) 性別の観点から、社会における制度又は慣行をできる限り中立なものにすること。
(3) 市における政策又は事業者等における方針の立案若しくは決定をはじめとするあらゆる場に、性別にかかわりなくだれもが対等に参加できること。
(4) 性別にかかわりなくだれもが、家庭内での協力及び社会的支援のもとに、子育て、介護等家族としての役割を果たすことと職場、地域等において活動することとを両立できるようにすること。
(5) 国際社会における取組と密接な関係があることを認識して取組を推進すること。
(市の責務)
第4条 市は、この条例の基本理念に基づき、男女平等社会の実現に向けて、総合的かつ計画的に施策を実施しなければならない。
2 市は、男女平等社会の実現に影響を及ぼすと認められる施策の立案及び決定に当たっては、男女平等社会の実現に配慮しなければならない。
3 市は、自らも事業者等であることを認識し、その労働環境において男女平等社会の実現に向けた取組を積極的に推進しなければならない。
4 市は、男女平等社会の実現に向けて、市民及び事業者等と協力して取り組まなければならない。
5 市は、男女平等社会の実現に向けて、国及び他の地方公共団体と協力して取り組まなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる場において、この条例の基本理念に基づき、男女平等社会の実現に向けて取り組むよう努めなければならない。
2 市民は、市が実施する男女平等推進施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者等の責務)
第6条 事業者等は、その活動を行うに当たっては、この条例の基本理念に基づき、男女平等社会の実現に向けて取り組むよう努めなければならない。
2 事業者等は、労働環境の整備に当たっては、その労働者が性別にかかわりなく、子育て、介護又は地域活動と、仕事とを両立できるよう努めなければならない。
3 事業者等は、市が実施する男女平等推進施策に協力するよう努めなければならない。
(市民及び事業者等の協力)
第7条 市民及び事業者等は、互いに協力して男女平等社会の実現に向けて取り組むよう努めなければならない。
第2章 性別による権利侵害の禁止等
(性別による権利侵害の禁止等)
第8条 何人も、あらゆる場において、直接的であるか間接的であるかを問わず、性別に起因する差別的行為又は取扱いを行ってはならない。
2 何人も、ドメスティック・バイオレンス、子どもに対する性的暴力その他性別に起因する暴力を行ってはならない。
3 何人も、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。
4 何人も、ストーカー行為(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第2条(定義)第4項に規定するストーカー行為をいう。)を行ってはならない。
5 何人も、外部に情報を提供するときは、前各項に規定する禁止行為及び取扱い並びにジェンダーによる固定的な役割分担を助長する表現を行わないよう配慮しなければならない。
(平成29年条例第15号・令和3年条例第31号・一部改正)
第3章 基本的施策
(行動計画等)
第9条 市長は、この条例の基本理念に基づき、男女平等推進施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女平等推進行動計画を策定しなければならない。
2 市長は、男女平等推進行動計画の策定及び変更に当たっては、第25条に規定する国分寺市男女平等推進委員会の意見を聴くとともに、市民及び事業者等の意見を反映するよう努めなければならない。
3 市長は、男女平等推進行動計画を策定し、又は変更したときは、速やかにこれを公表しなければならない。
(年次報告)
第10条 市長は、男女平等推進行動計画に基づく施策の実施状況について、第25条に規定する国分寺市男女平等推進委員会の意見を聴いて年次報告書を作成し、公表しなければならない。
第4章 具体的施策
(啓発活動及び教育による普及)
第11条 市は、男女平等社会の実現に関し、学校教育、生涯学習その他のあらゆる学習の場を通じて、市民及び事業者等の理解を深めるよう必要な措置を講じなければならない。
(雇用の分野における施策)
第12条 市は、雇用の分野における男女平等社会の実現に向けた取組を進めるため、事業者等に対する情報の提供その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 市は、市と契約を締結した事業者等に対し、男女平等推進施策に関する広報及び調査への協力を求めることができる。
(生涯にわたる健康への支援)
第13条 市は、男女が対等な関係の下、妊娠、出産、更年期等に関して互いに理解し、尊重し合い、男女が生涯を通じて健康な生活を営むことができるよう必要な措置を講じなければならない。
(ドメスティック・バイオレンス等の防止)
第14条 市は、ドメスティック・バイオレンスその他性別に起因する暴力を防止し、その被害者に必要な支援を行うための措置を講じなければならない。
(委員構成)
第15条 市は、附属機関等の委員の構成に当たっては、男女の意見がともに会議に反映されるよう努めなければならない。
(調査研究)
第16条 市は、男女平等社会の実現のため、必要な調査研究を行わなければならない。
(財政上の措置等)
第17条 市は、男女平等社会の実現のため、財政上の措置その他必要な措置を講じなければならない。
第5章 男女平等推進センター
(設置)
第18条 この条例の基本理念に基づき、男女平等推進施策を実施し、市民及び事業者等による男女平等社会の実現に向けた取組を支援するため、国分寺市立男女平等推進センター(以下「男女平等推進センター」という。)を設置する。
(位置)
第19条 男女平等推進センターの位置は、次のとおりとする。
国分寺市光町一丁目46番地8
(愛称)
第20条 男女平等推進センターの愛称は、「ライツこくぶんじ」とする。
(事業)
第21条 男女平等推進センターは、次に掲げる事業を行う。
(1) 情報及び学習の機会の提供
(2) 市民及び事業者等相互の交流の機会及び場の提供
(3) 相談に関する事業
(4) 図書及び資料の収集並びに提供に関する事業
(5) 前各号に定めるもののほか、市長が必要と認める事業
(管理及び運営)
第22条 この章に定めるもののほか、男女平等推進センターの管理及び運営に関する事項は、別に定める。
第6章 苦情等への対応
(施策への苦情又は改善提案の申出への対応)
第23条 市長は、市が実施する男女平等推進施策又は男女平等社会の実現に影響を及ぼすと認められる施策に関する市民からの苦情又は改善提案に対し、適切に対応しなければならない。
(性別に起因する人権侵害に係る相談への対応)
第24条 市長は、性別に起因する人権侵害に係る相談については、関係機関、関係団体等と連携を図るとともに、相談した者に配慮した対応に努めなければならない。
第7章 男女平等推進委員会
(男女平等推進委員会の設置及び組織)
第25条 市の男女平等推進施策を総合的かつ計画的に推進するため、市長の附属機関として、国分寺市男女平等推進委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
2 委員会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議し、答申するほか、当該事項について市長に建議することができる。
(1) 男女平等推進施策に係る重要事項に関すること。
(2) 男女平等推進行動計画の進ちょく状況に関すること。
3 委員会は、次に掲げる委員10人以内をもって組織し、市長が委嘱する。
(1) 男女平等社会の実現に向けて活動している団体の代表者 3人以内
(2) 公募により選出された市民 3人以内
(3) 識見を有する者 4人以内
4 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 委員会に委員長及び副委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。
6 委員長は、委員会を代表し、会務を総理する。
7 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、その職務を代理する。
(令和3年条例第31号・一部改正)
(委員会の会議)
第26条 委員会は、委員長が招集し、委員長は、会議の議長となる。
2 委員会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。
3 委員会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
4 委員会は、会議の運営上必要があると認めるときは、委員以外の者を会議に出席させ、その意見を聴き、又は委員以外の者から資料の提出を求めることができる。
5 委員会の会議は、公開する。ただし、国分寺市附属機関の設置及び運営の基本に関する条例(平成11年条例第26号)第5条(会議の公開)ただし書の規定に該当する場合は、当該会議の全部又は一部を公開しないことができる。
6 委員会の庶務は、市民生活部人権平和課において処理する。
(平成25年条例第42号・平成29年条例第30号・一部改正)
第8章 雑則
(委任)
第27条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成19年6月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際、現に存する国分寺市女性行動計画は、この条例第9条第1項の規定により策定された男女平等推進行動計画とみなす。
(国分寺市男女平等推進委員会条例の廃止)
3 国分寺市男女平等推進委員会条例(平成3年条例第8号。以下「旧条例」という。)は、廃止する。
(国分寺市男女平等推進委員会条例の廃止に伴う経過措置)
4 この条例の施行の際、現に旧条例第3条第2項の規定に基づき委嘱された委員については、この条例第25条第3項の規定により委嘱されたものとみなす。この場合において、当該委員の任期は、旧条例の規定に基づき委嘱された期間を控除した期間とする。
(国分寺市立女性センター条例の一部改正)
5 国分寺市立女性センター条例(平成6年条例第24号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附則(平成25年条例第42号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成26年4月1日から施行する。
附則(平成29年条例第15号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成29年条例第30号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。
附則(令和3年条例第31号)
この条例は、令和4年4月1日から施行する。ただし、第8条第4項の改正規定は、公布の日から施行する。