○国分寺市公共調達条例
平成24年6月28日
条例第35号
目次
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 調達品の価格(第9条―第12条)
第3章 労働条件、賃金水準等(第13条―第16条)
第4章 検証及び評価(第17条―第24条)
第5章 補則(第25条・第26条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、国分寺市(以下「市」という。)が広範な事務事業を実施するに当たって、契約自由の原則の下で外部から多種多様なもの及びサービスを調達していることに鑑み、その調達の基本的な在り方を明確にすることにより、実施主体である市と調達の担い手である事業者が共に社会的責任を自覚し、もって市政及び地域社会の発展に寄与することを目的とする。
(令和4年条例第11号・一部改正)
(1) 調達 売買、貸借、請負その他の契約により物品、完成品、成果物、サービス等を得ることをいう。
(2) 公共調達 市が外部から事務事業の運営上必要とするもの(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2(公の施設の設置、管理及び廃止)第3項の規定により市長が指定するもの(以下「指定管理者」という。)により行われる公の施設の管理を含む。)を調達することをいう。
(3) 調達品 公共調達により得るものをいう。
(4) 調達手続 公共調達に関する手続をいう。
(5) 事業者 公共調達の契約等の相手となり得るものをいう。
(6) 受注者 事業者のうち、市と公共調達に係る契約等を締結したものをいう。
(7) 下請負 事業者が他のものに公共調達に係る契約等の業務の一部を請け負わせることをいう。
(8) 再委託 事業者が他のものに公共調達に係る契約等の業務の一部を委託することをいう。
(9) 労働者 次のいずれかに該当する者をいう。
ア 受注者に雇用され、専ら公共調達に係る業務に従事する者
イ 下請負を受注したもの又は再委託を受託したもの(以下「下請負者等」という。)に雇用され、専ら公共調達に係る業務に従事する者
ウ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)の規定に基づき、受注者又は下請負者等に派遣され、専ら公共調達に係る業務に従事する者
エ 自らが提供する労務の対償を得るため、受注者又は下請負者等との契約により公共調達に係る業務に従事する者
(10) 社会的価値 適正な賃金及び労働条件の確保、環境への配慮、障害者雇用、男女の雇用の機会均等その他の社会的に尊重されるべき価値をいう。
(令和4年条例第11号・一部改正)
(基本理念)
第3条 市は、次に掲げる事項を基本理念として調達を実施するものとする。
(1) 公正性、透明性及び競争性が確保されること。
(2) 調達品における良好な品質が確保されること。
(3) 良好な市民サービスが確保されること。
(4) 調達における適正な手続が確保されること。
(5) 良好な調達実績を有する事業者及び地域社会の発展に寄与する事業者を適正に評価すること。
(市の責務)
第4条 市は、公共調達を伴う施策を立案する場合においては、前条に規定する基本理念をもとに、地域経済の活性化が図られるよう努めなければならない。
2 市は、公共調達が税金その他の公的な財源で賄われていることを踏まえ、公共調達を適正に執行しなければならない。
3 市は、公共調達を伴う施策を立案する場合においては、環境に配慮するものとする。
(事業者等の責務)
第5条 事業者は、公共調達に関わるものとして社会的責任を十分自覚し、この条例を遵守するとともに、第3条に規定する基本理念が実現されるよう市に協力しなければならない。
2 受注者は、下請負又は再委託を行う場合においては、当該下請負者等にこの条例の趣旨を説明し、理解を得なければならない。
3 下請負者等は、受注者と共にこの条例を遵守しなければならない。
4 事業者及び下請負者等は、建設業法(昭和24年法律第100号)、下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)その他関係法令を遵守するとともに、契約を締結するに当たっては、当事者間の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、これを履行しなければならない。
(令和4年条例第11号・一部改正)
(調達における協働)
第6条 市は、公共調達を伴う施策を立案する場合においては、協働を推進するよう努めるものとする。
2 市は、協働により公共調達を伴う事業を実施する場合においては、第3条に規定する基本理念を十分に勘案するものとする。
(雇用の促進等)
第7条 事業者は、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号)その他関係法令に基づき、障害者、高年齢者その他の就労困難者に対する雇用の促進を図るとともに、子育てを支援し、男女平等を実現するための方策を推進することにより、社会的価値の向上に努めるものとする。
(調達手続における考慮事項)
第8条 市は、調達手続を行うに当たっては、第3条に規定する基本理念が十分に確保されるよう進めるものとする。
第2章 調達品の価格
(価格算定の適正化)
第9条 市は、最新の市場価格及び社会情勢を考慮し、適正な積算根拠に基づき調達品の価格を算出しなければならない。
2 市は、調達手続を行うに当たっては、調達品の品質を維持するために通常必要とされる価格を著しく低下させてはならない。
(提示価格の適正化)
第10条 市は、公共調達において、事業者が提示する調達品の価格が市場価格に比して著しく低額であると認められるときは、必要に応じ、当該調達品の価格について調査するものとする。この場合において、調査の方法及びその取扱いについては、別に定める。
2 事業者は、前項に規定する調査に協力しなければならない。
(価格のみによらない相手方の選定)
第11条 市は、総合評価方式(地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第167条の10の2の規定に基づき、予定価格(市が契約を締結するときに、その契約金額を決定する基準となる価格として、市長があらかじめ作成するものをいう。以下同じ。)の制限の範囲内の価格をもって申込みをした者のうち、価格その他の条件が市にとって最も有利なものをもって申込みをしたものを落札者とすることができる方式をいう。)及びプロポーザル方式等(業務に対する提案等の提出を受け、その提案等を評価し、最も適切な創造力、技術力、経験等を有する事業者又は最も優れた企画案を選定する方式をいう。)の価格のみの競争ではない方式により受注者を選定するときは、予定価格の制限の範囲内の価格をもって申込みをした者のうち、最低の価格をもって申込みをしたもの以外のものを契約の相手方とすることができる。
2 市は、前項の規定により価格のみの競争ではない方式により受注者を決定した場合において、事業に対する提案を評価対象としたときは、契約締結後の当該提案についての変更は、原則として認めないものとする。ただし、社会情勢に急激な変化が生じる等、受注者の責めによらない理由において当該提案の履行が著しく不適当であると認めるときは、その実情に応じ、当該提案の変更を認めることができる。
3 市は、第1項の評価を行う場合における評価の手続、項目その他必要な事項については、別に定める。
第3章 労働条件、賃金水準等
(法令の遵守)
第13条 市及び事業者は、公共調達について関係法令及びこの条例(以下「関係法令等」という。)を遵守し、労働条件及び賃金水準を適正に確保しなければならない。
2 市及び受注者は、関係法令等のほか、公益通報者保護法(平成16年法律第122号)及び国分寺市職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例(平成19年条例第20号)に定めるところに従い、公益通報に対し適切に対処するとともに下請負者等に対し公益通報制度の周知を図るものとする。
(1) 受注者及び下請負者等は、公共調達に係る業務に従事する労働者に対し、次項の規定により算出した額(以下「最低額」という。)以上の賃金を支払わなければならないこと。
(2) 受注者は、下請負者等がその雇用する労働者に最低額を下回った賃金を支払った場合は、その支払った賃金と最低額との差額に相当する額を当該下請負者等と連帯して支払わなければならないこと。
ア 次条第1項第1号に該当する公共調達 受注者から徴する下請負に係る相手先、下請負の額その他の規則で定める報告事項
(4) 受注者は、前号の下請負又は再委託について変更が生じたときは、当該変更事項について速やかに市に報告すること。
(5) 受注者は、公共調達に係る業務に従事する労働者について、労働基準法(昭和22年法律第49号)第108条(賃金台帳)に規定する賃金台帳(以下「賃金台帳」という。)及び規則で定める報告書を作成し、当該公共調達の事業場に備えて置くこと。
(6) 受注者は、規則で定めるところにより、賃金台帳の写しを市に提出すること。
(7) 受注者は、次に掲げる事項を公共調達の事業場に掲示し、又は従事する労働者に書面により周知しなければならないこと。
ア 公共調達の発注者の名称及び所管部署の連絡先
イ 最低額
ウ 受注者と下請負者等において第2号の規定による連帯責任がある旨の説明
エ 受注者及び下請負者等の代表者並びに受注者及び下請負者等の当該公共調達の指揮命令の責任者の氏名及び連絡先
オ 労働基準法に規定する所定労働時間及び休日
カ 第16条第2項の申出をする場合の通報先及び当該申出をしたことを理由に不利益を受けることがないことの説明
(8) 受注者は、公共調達に係る業務に従事する労働者に支払われた賃金の額が賃金台帳の記載に合致しているかどうかの確認その他当該公共調達における前各号に掲げる事項の履行状況の調査を市が行う場合において、協力を求められたときは、これに協力すること。
(1) 次条第1項第1号に該当する公共調達 農林水産省及び国土交通省が公共工事の積算に用いるため毎年度決定する公共工事設計労務単価
(令和4年条例第11号・一部改正)
(1) 予定価格が90,000,000円以上の工事等の請負
(2) 予定価格が10,000,000円以上の工事等の請負以外のもののうち、規則で定めるもの
(3) 市が提示する指定管理費の額が10,000,000円以上の指定管理者により行われる公の施設の管理に係る指定のうち、規則で定めるもの
2 前項に規定する公共調達に係る契約等のうち、当該契約等の手続等について法令又は条例によりその取扱いが定められているものについては、当該法令又は条例の定めるところによるものとする。
(調査等)
第16条 市は、公共調達に係る契約等の業務に従事する労働者に支払われた賃金が賃金台帳の記載に合致しているかどうかの確認その他当該公共調達における第14条第1項第1号から第7号までに掲げる事項の履行状況の調査を行わなければならない。
2 公共調達に係る契約等の業務に従事する労働者は、その従事する公共調達の受注者又は下請負者等が当該公共調達において第14条第1項第1号から第7号までに掲げる事項に違反していると認めるときは、その旨を市又は当該受注者若しくは下請負者等に申し出ることができる。
3 前項の申出をした労働者を使用する受注者又は下請負者等は、当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない。
第4章 検証及び評価
(履行状況の把握等)
第17条 市は、公共調達に係る契約等において、調達手続における安全性及び正確性を確保するため、公共調達の工程及び履行状況を適切に把握しなければならない。
2 市は、前項の公共調達の工程及び履行状況の把握を円滑に実施するため、規則で定めるところにより、受注者から契約締結時における着手届、契約期間中における中間報告届及び契約期間満了時における完了届を徴するものとする。
(完了時の検査)
第18条 市は、公共調達に係る契約等において、別に定めるところにより調達手続の完了時に検査又は検収を行い、履行状況等について確認し、必要な品質の確保に資するものとする。
(評価)
第19条 市は、公共調達に係る契約等において、前条に規定する検査又は検収の結果に基づき、受注者の公共調達における履行状況を評価するものとする。
2 市は、前項の評価を同種の公共調達に係る事業者選定に反映させるものとする。
(公共調達委員会の設置等)
第20条 市の調達手続を適正に維持するため、国分寺市公共調達委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について審議し、その結果を市長に答申するほか、市長に建議することができる。
(1) 第14条第2項に定める最低額に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、公共調達の重要事項に関すること。
3 委員会は、委員5人以内をもって組織し、事業者、労働者及び識見を有する者のうちから市長が委嘱する。
4 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 委員会に委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。
6 委員長は、委員会を代表し、会務を総理する。
7 委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、委員長があらかじめ指名する者がその職務を代理する。
(委員会の会議等)
第21条 委員会の会議は、委員長が招集し、委員長は、会議の議長となる。
2 委員会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。
3 委員会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
4 委員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、審議することができない。
5 委員会は、会議の運営上必要があると認めるときは、委員以外の者を会議に出席させ、その意見を聴き、又は委員以外の者から資料の提出を求めることができる。
6 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
7 委員会の会議は、公開する。ただし、国分寺市附属機関の設置及び運営の基本に関する条例(平成11年条例第26号)第5条(会議の公開)ただし書の規定に該当する場合は、当該会議の全部又は一部を公開しないことができる。
8 委員会の庶務は、総務部契約管財課において処理する。
(平成25年条例第42号・一部改正)
(是正措置等)
第22条 市は、公共調達に係る契約等において、この条例に違反した受注者に対して、次に掲げる措置を講ずるものとする。
(1) 違反する事実の是正の指導又は勧告
(2) 第19条第1項の規定により評価した結果に基づき付した点数の引下げ
(3) 指名停止
2 市は、前項に規定する措置を実施してもなお受注者が是正しない場合は、当該公共調達に係る契約等を解除することができるものとする。
3 市は、受注者がこの条例に違反した事項が重大であると判断した場合は、規則で定める事項の公表を行うものとする。
4 市は、第2項の規定により当該公共調達に係る契約等を解除した場合における受注者の損害については、その責めを負わない。
(損害賠償)
第24条 受注者は、公共調達に係る契約等において、第22条第2項の規定による解除によって市に損害が生じた場合は、その損害を賠償しなければならない。
第5章 補則
(譲渡等への勘案)
第25条 市は、この条例に定める調達のほか、市の所有するものを他に譲渡、賃貸等する場合においても、この条例の趣旨を十分に勘案して実施しなければならない。
(委任)
第26条 この条例の施行について必要な事項は、別に定める。
附則
(平成24年規則第83号で平成24年12月1日から施行。ただし、第20条(公共調達委員会の設置等)及び第21条(委員会の会議等)の規定は、同年10月1日から施行)
(国分寺市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 国分寺市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和40年条例第45号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(見直し)
3 この条例は、この条例の施行後3年を目途に、その必要性に応じて見直しを行うものとする。
附則(平成25年条例第42号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成26年4月1日から施行する。
附則(令和4年条例第11号)
この条例は、公布の日から施行する。